『田園の詩』NO.79 「効き過ぎる暖房」(1998.3.17)


 立春以来、当地(大分県山香町)では暖かい日がめっきり多くなりました。三寒四温
というより二寒五温くらいのスピードで春は確実なものとなってきています。

 日中、天気の良い日などはストーブなしでも大丈夫です。かといって、夜間はやはり
暖房が必要。この時期、ストーブを入れたり消したり、温度調節には気を使わねばなり
ません。

 いつだったか、北海道の釧路に住む叔父さんが我が家にやって来た時のこと、「寒い
寒い」というのです。

 釧路はどの部屋にも暖房が効くような構造になっているので、家の中にいる限り寒く
はないが、こちらはストーブのある部屋以外は戸外にいるように寒いらしいのです。

 『徒然草』に「家の作りやうは、夏をむねとすべし。冬はいかなる所にもすまる」と
あり、私もその通りだと思っていましたが、極寒の地は逆に「冬をむねとすべし」なの
かもしれません。


     
    仕事場は陽がよく差し込むので、暖かいイスの上は、猫が場所の取り合いです。
                      (09.1.12写)


 ところで、先日、外出した折、昼食をとりにある店に立ち寄りました。その日は少し
寒かったので私はある程度着込んでいました。食事を始めて、段々暑くなってきたの
で、着ているものを一枚脱いだのですが、終わる頃には汗ビッショリ。早々に店を出
ました。

 食堂だけではありません。デパートや郵便局や役所などでも同じような経験をよく
します。とにかく暖房が効きすぎているのです。真冬ならともかく、外が春めいてきた
時だけに特にそう感じます。

 そもそも、冬に暖房をして夏に冷房をするのは、お客のためなのかそこで働く人の
ためなのか。よく見ると、冬はお客は厚着をしているのに従業員は薄着、夏はその
反対です。

 もし、室内の冷暖房がお客へのサービスならば、ほとんどその気遣いは要りません。
何故なら私達は戸外でも耐えられる服装をしているからです。だから、室内に入るだけ
でもう充分なので、たとえ冷暖房がなくても大丈夫なのです。

 省エネが叫ばれている昨今、冷暖房にはもっともっと気を配るべきだと思います。
                          (住職・筆工)

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